『本人は怒りっぽくなります。一時的にです。これも治まります』
抑うつ状態には、偏桃体を含む感情やストレス反応に関わる脳のネットワークが関係しています。抑うつ状態が続くと、気持ちが沈み込み、感情が平坦になったように感じることがあります。そして、そこから少しずつ感情が戻ってくる過程で、私にはある変化がありました。
一時的に。怒りっぽくなったのです。
喜怒哀楽でいうところの「怒」。私の場合は、感情が戻ってくるときに、まず「怒」が表に出てきました。今振り返ると、怒ることができるようになったということは、感情そのものが少しずつ戻ってきていたということなのだと思います。もちろん、これはすべての人に当てはまる回復の順番ではありません。
あくまでも、私自身が経験した変化です。そして、これは私だけの体験ではありません。私のセミナーの受講生にも、同じようなエピソードを話してくださった方がいました。また、音楽療法家・心理カウンセラーの橋本翔太さんの著書「聴くだけうつぬけ」でも、「怒り」がうつからの回復における突破口になり得ることや、怒りを感じても自分を責めないことについて述べられています。
家族や友人、同僚からすると、「なんだか、前と違う」「最近、怒りっぽくなった」「性格が変わってしまったのでは?」と感じるいかもしれません。本人自身も「どうしてこんなにイライラするんだろう」と戸惑うことがあります。でも、回復していく過程では、感情が少しずつ戻ってくる中で、イライラや怒りが目立つ時期がある人もいます。だからといって、怒りをそのまま周囲にぶつけていい、といいうわけではありません。しかし、ぶつけてしまうこともあるかもしれません。怒りによって誰かを傷つけてしまう場合には、それはそれとして対応する必要があります。
そのうえで、「怒りっぽくなった=必ず悪化した」と決めつけないでほしい。
私の場合は、その後、少しずつ落ち着いていきました。怒りだけではなく、ほかの感情も少しずつ戻ってきました。
家族、友人、同僚のみなさん。もし、抑うつ状態から回復してきた人に、以前よりイライラしたり怒ったりする様子が見られたら、少しだけ長い目で見てあげてください。
そして、本人も、「また怒ってしまった。自分はダメだ」と、必要以上に自分を責めなくていい。感情が戻ってきている途中なのかもしれません。私の場合は、そうでした。
コメント