28 服薬をためらうな

『薬を飲むことは、弱さではない』

医療従事者だからこそ、服薬をためらってしまう。そんな、矛盾があります。薬には、ベネフィットとリスクがあります。ここでいうリスクとは、主に副作用のことです。

医療従事者は、普段から薬が身近にある環境で働いています。だからこそ、薬の作用だけではなく、副作用や相互作用なども知っています。その知識があるからこそ、服薬をためらってしまうことってあるんですよね。「一度、服薬を始めたら、一生、薬から脱却できなくなってしまうのではないか?」そんな不安を抱えてしまうことがあります。さらに、インターネットには、服薬に対する不安を煽るような動画や情報もたくさんあります。そうした情報を見ていると、「やっぱり薬は飲まないほうがいいのではないか」と思ってしまう。だから、服薬をためらってしまうことがあるんです。

でも、抑うつ状態の中で苦しんでいるときには、つらい朝の焦燥感。自分の存在を、無かったことのように消してしまいたくなる希死念慮。なかなか寝付けない夜。眠ったつもりなのに、深夜に目覚めてしまう。あるいは、早朝に目覚めてしまう。こうした症状そのものが、とてもつらい。

薬物療法は、こうした症状を和らげるための治療の選択肢の一つです。もちろん、薬の効果や副作用には個人差があります。だからこそ、自己判断で我慢し続けたり、逆に自己判断で服薬を中断したりするのではなく、主治医と相談しながら、自分に合ったちりょうを探していくことが大切です。

私は、服薬を始めることを「一生薬を飲み続けること」とは考えませんでした。今の自分を少しでも楽にするために、必要な治療を受ける。それでいいのだと思います。

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