『まずは、そこから離れる』
抑うつ状態で最も辛い症状の一つといえる希死念慮。これは、本当に辛く、そして怖く、危険な状態です。「死神に憑りつかれた」と表現する人もいます。その表現に私も同意します。もう、苦しみを感じていたくないから消えてしまいたいんですよね。私のセミナーの受講生でも、日常生活の中で、ふと「このまま事故に遭ってしまえば楽なのに」と考えてしまうことを打ち明けてくれた方がいました。驚くかもしれませんが、そのような考えが浮かんでしまうことは、抑うつ状態の中で起こり得ます。しかし、ここで知っておいてほしいことがあります。
希死念慮は、ずっと同じ強さで続くとは限りません。
治療や休養、周囲からの支援などによって、次第に落ち着いていくことがあります。今は信じられないかもしれません。自分を苦しめている要因が、何も改善されていないように感じていても、希死念慮そのものが薄れていくことがあります。私は、自分ではどうすることもできない状況や、自分の努力だけでは改善できないことに直面したとき、人は抑うつ状態になることがあると述べました。その根源にある問題が、まだ解決していないにもかかわらず、希死念慮が先に弱まっていくこともあります。
では、なぜなのか。
私自身の経験では、まず、その事柄から一時的に離れることが大きかったと感じています。職場環境が原因であれば、休職という制度を利用して、そこから一時的に離れる。休息中に、職場そのものを変えることはできません。問題の根本的な解決も、まだ先かもしれません。それでも、過熱していた心身が少しずつ落ち着いていくことがあります。だから、今すぐ問題を解決しようとしなくてもいい。まずは、苦しみの原因から距離を置く。そして、治療や周囲の支援を受けながら、今日を過ごす。私の場合、そうしているうちに、あれほど強かった希死念慮が、少しず薄れていきました。
「この苦しみは永遠に続く」そう感じているときほど、覚えておいてほしいことがあります。今の状態が、この先も同じ強さで続くとは限りません。
そして、もし今、具体的に自分を傷つける計画や準備をしている、あるいは一人では安全を保てないと感じているのであれば、そこから離れるだけで抱え込まず、家族や友人、主治医などにつながってください。緊急性が高い場合は、ためらわず救急につながってください。
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