15 ショートタームゴールという考え方。まずはそこまで生き延びる

 『ショートタームゴール』

 抑うつ状態の人は、この苦しみが永遠に続いてしまうかのように感じてしまいます。この苦しみを抱えたまま生きていくことは辛すぎる。数年先、数カ月先の未来が想像できないのです。想像できたとしても、「この先もずっと、この苦しさが続くのではないか」と、さらに苦しくなってしまうことがあります。だから、そんな時は、遠い未来まで考えなくていい。

 数週間後の未来を迎える。

 それだけを目標にしてもいいのです。私はこれを「ショートタームゴール」と考えていました。まずは、そこまで生き延びる。

 例えば私の場合は、「子どもの部活の大会が開催される、その日まで生き延びよう」「大会だけは、子ともが笑顔で迎えられるように、そこまでは生き延びよう」そんな設定でした。それは、遠すぎない未来の日でいいのです。父の日まで。母の日まで。子供の卒業式まで。好きなアーティストの配信日まで。何でもいい。もっと短くてもいいのです。

「午前中を生き延びよう」

 それでもいい。「今日の一日」すら長すぎるなら、「次の食事まで」そんなふうに、もっと短く区切ってもいいのです。大切なのは、数か月後、数年先の人生を今の自分に背負わせなくていい。まずは、設定したショートタームゴールまで生きる。では、実際にそのゴールに到達したら、どうすればいいのでしょうか。その時に、次のショートタームゴールを設定すればいいのです。次のことは、その時に考える。それでいい。「大会の日まで生きる」と決めたなら、大会の日を迎えてから、次の目標を考える。「卒業式まで」と決めたなら、卒業式を迎えてから、その次を考える。

 その繰り返しでいいのです。

 ショートタームゴールを一つずつ紡いでいく。その間に、治療を受ける。休む。誰かに頼る。そして、少しずつ時間を重ねていく。「時間を稼ぐ」でよいのです。すると、あの時には想像できなかった変化が起こることがあります。

 私自身がそうでした。

 あの時は、先の未来なんて考えられなかった。でも、一つのゴールまで生き延びて、また次のゴールを設定した。そうやって時間をつないでいるうちに、状況は少しずつ変化していきました。だから、今は遠い未来を考えなくてもいい。まずは、そこまで。そこまで生き延びる。そして、到達したら、また次を考える。それでいいのです。

※もし今、具体的な自殺の計画や準備がある場合は、ショートタームゴールだけで一人で乗り切ろうとせず、主治医や家族、信頼できる人、緊急時には救急医療など、すぐに人につながってください。

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